
またまたGWに読んだ本の読後評を。
タイトルは、「この国の未来へ ~持続可能で「豊か」な社会」
著者は、佐和隆光氏。
本物の「豊か」な社会を実現させるための処方箋?!(そんな簡単に出来るのか)を、教育、福祉、グローバル化、エネルギー、地球環境問題など、21世紀の重要問題を取り上げるという野心的な本。
これもタイトルに刺激されて手に取りました。
発売は、今年2月。
感想は...
まとまっている点においては良いとは思うが、総花的すぎて示唆レベルで終わってしまい、突っ込んだ議論にならない。
もともと1つのテーマだけで一冊の本になるような内容をわずか200ページでやっているからして、無理がある。
このため、読んでいる方はさらりと読んでしまいほとんど何も残らないか、ものすごく消化不良に陥るのどちらかと言ってしまっていいだろう。
著者が今ここでこういう形でまとめたかったのは良くわかるが、東京大学ー京都大学経済研究所所長ー立命館大学政策科学研究科教授という日本でもそうとうのキャリアの人物からの提言だと考えると、かなり残念に思ってしまう。
比較するのも何だと思うけれども、例えばこの一年ぐらいで私にかなり刺さった本でいうと、アルビン・トフラー(意外にも)の最新著「富の未来」は後半の2冊目がかなり響く箇所があった。
トフラーも高齢になり、もうすぐ80才。
次世代への想いをこめたことが想像できるこの「富の未来」の2冊目の後半部分は、「富」がどこで新たに発生し動きていくか、という視点から未来を予見させる含蓄に富んだ分章が連続していた。
例えば、ということで引用いたします。
「知識の市場は拡大しているだけでない。同時に変容しているのであり、これも富の体制の基礎的条件のうち深部の要因が変化しているためである。
未加工のデータから抽象化された高度の知識まで、あらゆるものの収集、組織化、普及が社会と市場でいまほど急速に行なわれたことはなかった。経済のどのセクターにもみられる変化の加速に見合っており、それ以上に急速ですらある。時間がナノ病単位までに圧縮されているのである。同時に、知識があらゆる境界を越えて普及しており、この点でも、あらゆる形態の知識が広まる範囲は空間的にみて拡大している。
それ以上に重要な点は知識に関する知識の変化と、知識が組織化される方法の変化であり、長年にわたって確立していた分野の壁はつぎつぎに炎に包まれて崩壊している」
(富の未来 後編 129p)